アメリカ移住の方法とは?ビザの種類をわかりやすく解説
アメリカ移住のためのビザは、グリーンカードと呼ばれる永住権を取得するか、非移住民ビザを取得しなければなりません。
しかし誰もが希望したビザを申請できるわけではなく、条件に合うものを選ぶ必要があります。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- アメリカの永住権グリーンカードとは
- グリーンカードの取得方法
- アメリカの永住権と市民権の違い
- 非移民ビザの種類
ビザの種類だけでなく取得方法、グリーンカードについてなど、アメリカ移住の方法についてまとめました。
なお、当社ではM&AによるEビザの取得やグリーンカードの申請などに関するご支援を承っております。
ハワイ移住のサポートプログラムに興味がある方は、ぜひご気軽にご相談ください。
関連記事:アメリカのE2ビザの取得方法とは、グリーンカードとの違いを解説
アメリカ移住のための非移民ビザと移民ビザ
ビザとは、自国の安全を保つため、また入国の審査を簡素化するために、入国前に発行する許可証です。
アメリカのビザには、大きく分けて非移民ビザと移民ビザの2種類があります。
非移民ビザとは、一時的な滞在を目的とした場合に発行されるビザです。
留学や海外駐在のためのもので、帰国を前提としたビザとなります。
移民ビザとは、グリーンカードとも呼ばれるアメリカの永住権です。
グリーンカードを取得すると、永住的にアメリカに居住する権利を得られます。
アメリカの永住権グリーンカードとは
現在は白ですが、1940年代当初に採用された際の永住権が緑色だったので「グリーンカード」と呼ばれるようになりました。
アメリカへの出入国が自由で、職業も自由に選択できるという特徴があります。
滞在の期限は設けられていませんので、実質はアメリカ人と同じような生活が可能となります。
ただし永住権は国籍ではありませんので、市民権とは異なる点があると覚えておきましょう。
アメリカ永住権取得方法4つ
グリーンカードは、誰もが自由に望んだ通りに取得できるものではありません。
取得には条件があり、永住権の申請ができるのは以下のいずれかの条件に当てはまる人です。
- 米国籍者の配偶者(結婚)・家族
- 専門的知見や能力のある人
- 米国企業への投資(EB-5)
- DV抽選永住権
米国籍者の配偶者(結婚)・家族
アメリカ人と結婚し配偶者となった場合や子ども、両親はグリーンカードの申請ができます。
アメリカは同性愛が認められていますので、同性愛者であっても問題はありません。
この条件でグリーンカードを取得する際には、結婚が偽装でないと証明するための面接が必要になります。
配偶者の場合は、グリーンカード取得までおよそ1年半の時間がかかります。
状況により永住権の有効期限が異なり、例えば結婚2年未満だと最初は2年間の条件付きとなります。
グリーンカードは更新ができますので、その後10年間の権利に切り替えていきます。
専門的知見や能力のある人
アメリカにある会社の本社・支社の企業の役員や、研究者といった特別な能力のある人は、グリーンカードの申請ができます。
自己申告ではなく、その能力を証明してくれるアメリカの雇用者や会社といったスポンサーの存在が必要です。
米国雇用先をスポンサーとしてグリーンカードを申請する場合は、1~5年の取得期間がかかりますので、他の方法と比較すると時間がかかります。
米国企業への投資(EB-5)
アメリカ国内にある指定された企業に投資をして、グリーンカードを取得する方法です。
EB-5プログラムには、以下の2種類があります。
EB-5投資永住権プログラム | 以下の条件のうちいずれかにて申請
|
EB-5地域センタープログラム |
|
EB-5地域センタープログラムは、EB-5投資永住権プログラムを緩和した形のプログラムです。
投資額は半額の80ドル以上となりますが、アメリカ国内で失業率が150%以上を超える地域に投資をするのが条件です。
DV抽選永住権
アメリカの永住権を得るためには、DV抽選(グリーンカード抽選プログラム)に当選するという方法もあります。
応募は1年に1回となっており、投資などの条件はありませんが、強運が必要です。
アメリカへの移民率が低かった国が対象となり、年間5万件のグリーンカードが発行されています。
過去5年間で5万人以上の移民がいると対象国から外れますが、日本は今まで外されていません。
抽選の受付は毎年秋頃となっており、受付期間は1ヶ月ほどと短期間です。
DV抽選でグリーンカードを取得したいと考えている場合は、募集期間など情報収集をしておきましょう。
グリーンカードの取得方法
DV抽選でグリーンカードを取得するまでの流れは、このようになります。
- DV抽選に申し込みをし、当選する
- 永住権申請をする
- 書類審査を受ける
- 大使館に指定された病院で健康診断を受ける
- 大使館で面接を受ける
- 申請の許可がおりる(グリーンカードはまだ)
- 180日以内にアメリカへ渡る
- 入国時に最終書類を提出する
- ここでグリーンカードがもらえる
DV抽選に当選する倍率は0.64%といわれていますので、この時点でかなりの狭き門であるといえます。
さらに大使館指定の病院で健康診断を受けたり、面接をしたりと、複数のステップがあります。
DV抽選で当選しても許可がおりないケースもありますので、書類の提出等、指示された通りに手続きをしていきましょう。
最終的にグリーンカードが手元にくるのは、アメリカに入国する時です。
グリーンカードと市民権の違い
グリーンカードは永住権なので、実質的にはアメリカ人と同じような生活が可能になります。
しかし国籍はあくまでも日本であり、日本人がアメリカに永住しているという状態にすぎません。
アメリカに永住できる権利として市民権を取得するという選択肢もありますが、永住権と市民権にはどのような違いがあるのでしょうか。
- 条件や費用の違い
- 選挙権の有無
- 職業選択の自由
- 渡航制限や更新の有無
- 家族を呼び寄せる際の違い
- 強制送還の有無
条件や費用の違い
グリーンカードは、先述した通りいくつかの取得方法があります。
取得方法によって、グリーンカードの申請費用は1,000~3,000ドルと差があります。
一方、市民権を取得するには、このような条件を満たしている必要があります。
- 18歳以上である
- グリーンカード取得から5年以上経っている
- グリーンカード取得後5年間の内、30ヶ月以上アメリカで住居している
ただし、アメリカ人配偶者と結婚した場合は、グリーンカード取得から3年経過しており、18ヶ月以上アメリカに住んでいれば市民権の申請ができます。
まずはグリーンカードを取得してアメリカに住んでいるのが条件なので、市民権は永住権を取得した先のステップとして捉えておきましょう。
市民権の申請料として675ドルがかかります。
選挙権の有無
グリーンカードを取得し、アメリカの永住権を得たとしても国籍が変わったわけではありません。
そのためグリーンカードでは、アメリカの州や地方、連邦における選挙権・被選挙権は付与されません。
市民権を取得すると、アメリカに帰化したことになりアメリカ国民になり選挙権・被選挙権が与えられます。
日本国籍を離脱することになりますので、日本での選挙権・被選挙権はなくなります。
職業選択の自由
グリーンカードを持っている場合でも、市民権を得ている場合でも、自由に職業を選択できます。
ただし、一部の職業は市民権がないと就けないものもあります。
- ホワイトハウスやCIAといった政府関係の仕事
- 国家公務員
- 地方公務員
- 国家の機密情報や安全保障を扱う仕事
公的な職種に限らず、民間企業でもグリーンカードだと政府連携業務ができないケースもあります。
渡航制限や更新の有無
グリーンカードか市民権かで、渡航制限や更新の有無が異なります。
渡航制限 | 更新 | |
グリーンカード | 1年の1/2 | 10年で更新 |
市民権 | 制限なし | 無し |
市民権であれば、渡航制限や更新といった制限はなく、アメリカの出入国が自由です。
グリーンカードの場合は、永住の意志があるかが重要となりますので、1年の半分をアメリカ国外で生活するとグリーンカード剥奪の危険があります。
家族を呼び寄せる際の違い
海外にいる自身の家族をアメリカに呼び寄せたいと思った時に、グリーンカードと市民権では優先順位が異なります。
優先順位 | |
市民権 |
|
グリーンカード |
|
グリーンカードを持っている人が兄弟姉妹等の家族をアメリカに呼び寄せたいと思った場合には、グリーンカードではなく市民権を取得する必要があります。
強制送還の有無
グリーンカードは、あくまでもアメリカでの居住が認められた外国人という立場です。
市民権はアメリカ国民となりますので強制送還はありませんが、グリーンカードの場合は以下のような場合に自国に強制送還される可能性があります。
- 重罪を犯す
- 市民権固有の権利を濫用する
市民権固有の権利とは、アメリカ国民であると名乗ったり、選挙に参加するという内容を指します。
グリーンカード保持者には、そもそもこのような権利はありません。
アメリカの非移民ビザの種類とは
アメリカ非移民ビザには、このような種類があり分類がされています。
渡航の目的に合わせて、自身に合うビザを選びます。
内容 | 対象者 | |
Aビザ | 外交・公用 | 政府職員とその家族 |
Bビザ | 観光 | 旅行 |
Cビザ | 通過 | アメリカ経由で他国へ行く人 |
Dビザ | クルー | 船舶・飛行機の乗組員 |
Eビザ | 貿易駐在員・投資駐在員 | 投資・貿易目的 |
Fビザ | 留学 | 学生や社会人 |
Gビザ | 国際機関 | 国際会議に出席する人 |
Hビザ | 就労 | 技術職・専門職 |
Iビザ | 報道関係者 | 報道関係やジャーナリスト |
Jビザ | 交流訪問者 | 交流プログラムに参加する人 |
Kビザ | 婚約者 | アメリカ国籍の人と婚約する人 |
Lビザ | 企業内転勤 | 本社・支社へ転勤する人 |
Mビザ | 職業訓練生 | 特殊技能の訓練が目的 |
Oビザ | 卓越能力者 | 特定の分野で能力がある人 |
Pビザ | 芸術・芸能関係 | 芸術家や芸能人 |
Qビザ | 国際文化交流 | 国際交流プログラムに参加する人 |
アメリカ非移民ビザの申請手順
アメリカの非移民ビザを申請するには、このような手順となります。
- 自身に合うビザの種類を確認する
- DS-160オンライン申請書を作成する
- プロファイルを作成し、面接予約をする
- パスポートや書類を用意する
- 大使館等で面接を受ける
- ビザが貼られたパスポートが届く
(参照:ESTA アメリカビザ(非移民ビザ申請)の種類・申請方法)
DS-160とは、ビザの申請に必要なオンライン申請書で、非移民ビザを取得する全ての人が対象です。
オンラインでプロファイルを作成し、申請料金の支払いをすると、面接の予約ができます。
面接は大使館か領事館で受けられますので、最寄りの場所で面接を受けます。
これらのステップが必要となりますので、ビザの申請は渡航予定の3ヶ月前にはスタートさせましょう。
アメリカビザ取得に関するQ&A
アメリカの非移民ビザに関するよくある質問にお答えします。
- LビザとEビザの違いは何ですか?
- ビザとESTAの違いは何ですか?
- ビザはどこでとれますか?
- ビザを取るのに手数料はいくらかかりますか?
- ビザ申請にどのくらい時間がかかりますか?
LビザとEビザの違いは何ですか?
LビザとEビザは、双方の要件を満たせるケースがあるほど対象者が似ています。
Lビザは企業内での転勤をスムーズにさせるためのビザで、Eビザはアメリカへの投資を促進するものです。
また申請方法も異なり、Lビザの場合はアメリカ現地法人がUSCISに申請をしなくてはいけません。
Eビザであれば、日本のアメリカ大使館か領事館にて企業登録をするとその後はUSCISでも在日公館でも申請できます。
ビザとESTAの違いは何ですか?
滞在期間が90日以内の観光なら、ESTA(エスタ)を申請すればビザは必要ありません。
観光ではなくビジネスや留学が目的で、90日以上の滞在を予定しているのであればビザが必要になります。
ビザはどこでとれますか?
ビザの申請先は、日本国内のアメリカ大使館・領事館です。
- 在日米国大使館(東京)
- 在大阪・神戸米国総領事館
- 在札幌米国領事館
- 在福岡米国領事館
- 在沖米国総領事館
上記の最寄りの大使館か領事館にて面接をし、ビザを取得します。
ビザを取るのに手数料はいくらかかりますか?
ビザの発給にかかる手数料は、種類により700円~6,000円程度となっています。
一次有効ビザ | 約3,000円 |
数次有効ビザ | 約6,000円 |
通過ビザ | 約700円 |
参照:外務省「ビザ手数料」
ビザ申請にどのくらい時間がかかりますか?
ビザの発給までは、申請受理の翌日から5営業日です。
しかし申請内容に不備があったり、審査に時間がかかるケースもあります。
渡航の際にビザがなければいけませんので、時間に余裕をもって申請するようにしましょう。
渡航予定の1~3ヶ月前を目安に、ビザの申請をスタートさせてください。
自分に合うビザを申請しよう
アメリカのビザは、移民ビザと非移民ビザがあります。
移民ビザはグリーンカードと呼ばれるアメリカの永住権で、アメリカ国民と同じような生活が可能になります。
非移民ビザは、条件を満たさなくなった際には帰国の意志があるもので、一時的な滞在を目的としています。
細かく種類が分けられていますので、自分の条件に合うビザを選び申請するようにしましょう。